コロンとしたフォルム、ほんのり艶めく真っ黒の胴体からすっと伸びた口、握りやすさと注ぎやすさに配慮したツル……。
岩手県盛岡市の虎山(こざん)工房がつくる鉄瓶には、職人さんたちの絶えることのない向上心が凝縮されています。
一番のポイントは、すっと伸びた注ぎ口。一般的な形の鉄瓶よりも上のほうから生えています。じつは、そうすることで沸騰したお湯がプッププップと飛び出さない構造になっているのです。
それから、ツル。幅2センチ弱、薄くてなだらかな持ち手は手ぬぐいを巻いても滑りにくく、しっかりと握れます。虎山工房の鉄瓶に付けるツルはすべて田中鉉工房によるもの今では盛岡市内に唯一残るツル工房となりました。火であぶり真っ赤になった鉄の棒をカンカンカンカンカンと金づちで打って形を整えていきます。
そして、実はかわいいだけじゃない木のつまみ。注ぐ時、最初はツルだけ持っていればよいのですが、傾ける角度が大きくなれば当然ふたは落ちてしまいます。ふたは熱せられて相当熱くなっているので、気をつけなければなりません。そこで真価を発揮するのが、木でつくられたまん丸いカバー。おかげで、安心してふたをつまめます。
ミネラル水いらずで節約実現
そのうえちゃっかり鉄分補給も!
以前はお米を炊くのもお茶を淹れるのもミネラルウォーターだった私。でも、鉄瓶から自然に溶け出す「鉄分」の作用で、水道水特有の臭みが消え、まろやかに。おかげで予期せぬ節約が実現しました。
それに、鉄分が溶け出しているということは、鉄瓶で沸かしたお湯を飲んだり料理に使ったりする中で、不足しがちな鉄分を自然に摂取できているというわけです。
とはいえ、ステンレスと違い鉄は錆びるから面倒そうだわと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、意外と手間はかかりません。お湯を沸いたら、鉄瓶が熱いうちに空っぽにしてふたを外す。そして、濡れていないところに置いておく。これだけです。ふたを外しておけば、余熱で中までしっかり乾くのです。
耳を澄まし、コポコポと沸く音を待つ時間、静かに鉄瓶を傾けて熱々のお湯を注ぐ瞬間、立ち上る真っ白で清らかな湯気に包まれる空間……。
「鉄瓶で湯を沸かす」という一連の動作の中に、いくつもの小さな幸せを感じていただけるのではないでしょうか。
職人 : |
虎山工房(岩手県盛岡市)
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容量・寸法・重さ : |
【大】約1.8リットル・高さ約22センチ、幅約22センチ、胴径約18センチ・約2000グラム
【中】約1.2リットル・高さ約18センチ、幅約19センチ、胴径約115.6センチ・約1650グラム
【小】約0.8リットル・高さ約15センチ、幅約16センチ、胴径約12.8センチ・約1000グラム
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納期 : |
約3カ月(ご注文いただいてから製作します) |
手入れ方法など: |
- ガスコンロ、IH調理器ともに使用可能です。ただし、ガスコンロの場合は中火以下、IHは弱火でお使いください
- 水を入れたまま放置せず、お湯をわかしたら鉄瓶が熱いうちに中身を空にして余熱で乾燥させてください
- 内側も外側も洗う必要はありません。お茶を沸かした場合もそのままで大丈夫です
- お湯が赤く濁るほど内部が錆びてしまった場合は、お米のとぎ汁を入れ、ふたを外したまま弱火で何度か沸かすと修復できます
- しまい込まずに毎日使ってあげてください。それが何よりのお手入れになります
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