いきなりではありますが、「おにぎり」という食文化、すごいですよね。
決して派手ではないのに、存在感はしっかりあって、あらゆる思い出の隣にちょこんと正座している。たとえば、夏祭りの時に町内会のおばさん達が何百個と作ってくれたゴマ塩むすび、たとえば母の愛情たっぷりおにぎり。具だくさんの大きなおにぎりを持参したお花見デートも懐かしいですね〜。「幸せの象徴」といったら過言でしょうか。でも、少なくとも私にとってはそういう存在のように思います。
「座り心地バツグンだなぁ」
おにぎりの声が聞こえてきそう
でも、自分のために作ったおにぎりってあっという間に食べてしまいませんか? 形が整うやいなやかじりついたり、小皿の上でバタンと倒れてもおかまいなし。私は有岡さんの「おにぎり皿」に出合うまで、そんな感じでした。「おにぎりがちゃんと落ち着く居場所がほしいなぁ」としょっちゅう考えていたものです。
香川県高松市に讃岐漆器の工房を構えるクラフト・アリオカ。現在は、元・高校教師の有岡成員さんが家業を継ぎ、製作に励んでいます。先代から受け継いだ知見と根っからの研究熱心な性格により、あらゆる木材の性質や扱い方を知り抜いている有岡さん。栗、栃、松などそれぞれの木に合う手法で製品を生み出していきます。
このお皿は栗の木を手彫りして作ったもの。仕事机の上に置いて、文房具や名刺を乗せるのにもちょうどよさそうです。焼いたししゃもなんかにも合いますね。でも、あえて「おにぎり皿」。もちろんお菓子やおかずを乗せることもありますよ。でも、ししゃもとおにぎりが同時にあったら、間違いなく私はおにぎりに座らせます。それぐらい、「おにぎりにこれ以上しっくりくるお皿は見たことがない」と思ったのです。
丸みを帯びたその三角形をあらためて眺め、海苔の香りを吸い込み、がぶりとかぶりつく。たまには、皿に置きなおし、お味噌汁をすする。そうして、またがぶり。ふしぎなもので、特等席を与えられたおにぎりは、いつもより一層おいしく感じられるのでした。
職人: |
クラフト・アリオカ 有岡成員(香川県高松市) |
寸法: |
タテ約13.6センチ×ヨコ約18.3センチ×高さ約1.5センチ |
納期: |
1週間前後 |
手入れ方法など: |
- スポンジなどの柔らかい素材を使って洗ってください
- 電子レンジや食器洗い機・乾燥機のご使用はお避けください
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