長崎県大村市。空港からバスと電車を乗り継ぎ、無人駅で下車。タクシーを呼び、山道を登ること約7、8分、御厨(みくりや)正敏さんの工房に到着します。
この山で御厨さんが工房を開いて、32年。最初の頃はまともな屋根も壁もない吹きさらしの作業場で、ガラス作りに没頭していたそうです。それから徐々に環境を整え、工夫に工夫を重ねてやっと完成した窯と、これまた研究に研究を重ねて見つけた方法で、吹きガラスを制作しています。
このグラスは、ご覧のとおり無色透明ではありません。ほんのりミントグリーン色。
「びいどろ」と呼ばれた頃のガラスを復元しようと、昔の文献や品々をもとに御厨さんが見出した配合で作られています。
側面に沿って立ち上り、口のほうへいくにつれ薄くなって消えるモール(ラセン模様)はまるで煙のよう。このモールによって内側から見える世界はふにゃふにゃとぼやけ、幻想的な雰囲気を醸し出します。
コップの内側から覗く
ミントグリーンの世界に酔う
一つの形を商品化するまでに、何度も試作を重ね、自分で使い心地を確かめるという御厨さん。側面のモールと下のほうにあるわずかなくびれは、自然と手になじみ、持った時の安定感がたまらないのですが、これも研究の賜物なのでしょう。ずーっと触れていたい気持ちになるので不思議です。
厚めの底といい、ふっくらした形といい、あたたかみさえ感じる御厨さんのコップ。大きすぎないのでお酒のグラスとしてもちょうどいいのではないでしょうか。ゆらゆら融けるゆく氷と静かに混ざり合うお酒。焼酎にもウィスキーにも合いますね。
眠りの前の豊かな時間です。
職人 : |
御厨ガラス工房 御厨正敏(長崎県大村市) |
寸法 : |
底の直径約6センチ、口の直径約8.5センチ、高さ約8センチ
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納期 : |
4週間前後 |
手入れ方法など: |
- 熱湯はお控えください
- 電子レンジやオーブン、食器洗い機、乾燥機のご使用はお避けください
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