長崎空港の建つ大村湾を見下ろす高台の上に、御厨(みくりや)正敏さんは工房を構えています。工夫に工夫を重ねてやっと完成した窯と、研究に研究を重ねて生み出した方法で吹きガラスを作り続けています。
約1300度の熱で溶解するガラス生地。窯から取り出した瞬間から空気に触れて急速に冷えていきます。だから時間との戦い。にもかかわらず、御厨さんは全工程を一人でやってのけます。
無駄なく無理なく最適な動きができるよう窯や台が配置された工房内はまるでコックピットです。
「窯から右回りにぐるっと一周したら形が出来上がるの」と御厨さんはニヤリ。
もしや、UFO!?
いいえ、ガラスの器です
ガラスというと、やはり夏のイメージでしょうか。
しかしながら、御厨さんの生み出すガラスは、どれも厚みがあって、丸っこくて、なんだかあたたかい。そして、手に持つとしっとりとして気持ちがよく、年中そばに置いておきたい気持ちにさせる魅力を宿しています。
さて、それではこの浅鉢に何を盛り付けましょうか。なんでも合うと言ってしまえばそれまで。あえて春夏秋冬、季節ごとに挙げるとするならば……、春は菜の花のおひたし、夏はトマトのナムル、秋はいちじくと胡桃の白和え、冬は干し柿と蕪のなますなど。鮮やかな色、やさしい色、どんな色でも引き立ててくれるように思います。底が摺りガラスになっているのもさりげないけれど大切なポイントです。
それにしても、底に近づくにつれて濃くなる渦が、真上から見ると回転の軌跡のよう。やっぱり、ほんとのほんとの正体は「空飛ぶ円盤」だったりして!?
職人 : |
御厨ガラス工房 御厨正敏(長崎県大村市) |
寸法 : |
底の直径約4センチ、口の直径約12センチ、高さ約5センチ |
納期 : |
4週間前後 |
手入れ方法など: |
- 熱湯はお控えください
- 電子レンジやオーブン、食器洗い機、乾燥機のご使用はお避けください
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